営業ノウハウ

一流営業マンに必須なヒアリングと上達のポイント、注意点

ヒアリング

ヒアリングとは和製英語で「相手から話を聞きとる」ことを意味しますが、ビジネス・営業においては重要な役割を果たします。

ヒアリングの本質やポイントを理解しておくだけで、見込み客のニーズに沿った解決の提案が可能です。

本記事では、ヒアリングの重要性や能力アップのポイント、注意点について解説します。

商品・サービスの成約率を高めるためにも参考にしてください。

ヒアリングとは

ヒアリング

ヒアリングとは、和製英語の一種です。

シーンによって意味が異なるため、その違いについて理解しておく必要があります。

英語でのヒアリングの意味

英語でのヒアリングは「Hearing」で、聴覚や審問、公聴会などの名詞、あるいは「Hear」の聞く・耳にするという動詞の変化系を指します。

和製英語のヒアリングは「相手から話を聞きとる」という意味で使われていますが、これを英訳すると「Conduct an interview」となります。

ヒヤリングやリスニングとの違い

ヒアリングに似た和製英語に「ヒヤリング」や「リスニング」もありますが、これら2つとはどのように異なるのでしょうか。

ヒ“ア”リングとヒ“ヤ”リングに意味の違いはなく、和製英語における発音の違いに過ぎません。

日本国内で使う分にはどちらでも通用するでしょう。

一方でリスニングとの違いとして、ヒアリングは「自然と耳に入ってくる音」を指し、リスニングは「集中して聴いた音」を指します。

大学入学共通テストやTOEICでは、英語を聴いて問題に回答する試験をリスニングと呼びますが、集中して聴いた音から回答を判断するためです。

ビジネス・営業におけるヒアリングの重要性

スーツを着た男性

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ヒアリングは日常・勉強だけでなく、ビジネスシーンでも用いられます。

顧客や部下などの相手から考えや価値観を聞きだすことをヒアリングと言います。

ヒアリングは仕事における重要な役割を果たすため、その理由を3点解説します。

  • 見込み客のニーズを把握できる
  • 信用関係を構築できる
  • 仮説検証力を鍛えられる

見込み客のニーズを把握できる

自社の商品・サービスを購買してもらうために、一番に把握すべき点は見込み客のニーズです。

見込み客が「どのようなことに悩んでいるか」「何を解決したいか」を把握できれば、その解決に商品・サービスを提案できます。

しかし、相手のニーズを知らないまま一方的に購買させようとしても失注してしまうでしょう。

優秀な営業担当者は、自分が話すよりも相手から聞きだすことに重きを置きます。

ヒアリングを通じて見込み客の悩み・課題を聞きだし、見込み客が納得できる形で商品・サービスを提案しているのです。

入念なヒアリングが成約率アップにつながります。

信用関係を構築できる

あなたの目の前に2人の営業担当者がいることをイメージしてください。

Aさんは「自社の商品・サービスがいかに素晴らしいか」を延々と語っています。

あなたが退屈な顔をしているのにも気づきません。

一方のBさんは「あなたや会社はどのような状況なのか?何が問題なのか?」を親身に聞いてくれます。

あなたの発言に相づちを打ちながら、課題の本質にたどり着こうと深掘りしています。

あなたなら、どちらを信用して課題解決をお願いするでしょうか?

ほとんどの方はBさんにお願いするはずです。

つまり、相手の話へ真剣に耳を傾け、理解しようとする姿勢は信用関係につながります。

逆に押しつけのような営業トークでは相手の心をつかむことはできません。

このようにヒアリングを通じて、信用関係を築くことも可能です。

仮説検証力を鍛えられる

ヒアリングは相手に関する情報を集めるだけの作業ではありません。

相手の状況・立場に応じて仮説を立て、ヒアリングで検証することが重要です。

課題の本質に見込み客自身が気づいていないケースは往々にしてあります。

例えば「人手不足で仕事が追いつかない」という課題の裏には、「アナログ作業に固執している」という別の課題が潜んでいるかもしれません。

「本当はアナログ作業の多さが原因では?」という仮説を立て、ヒアリングを通してアナログ作業の量を検証していくのです。

このように仮説検証をくり返すことで課題の本質に近づくことができ、また営業担当者自身のスキルアップにもつながるでしょう。

ヒアリング能力を高めるポイント

ヒアリング能力を高めることで、顧客ニーズの理解、信用関係の構築、仮説検証力のスキルアップにつながるでしょう。

どのようにヒアリング能力を高めたらいいのか、ポイントを5点解説します。

  • 目の前の人に集中する
  • 丁寧に共感する
  • 5W2Hで聞く
  • 時間軸で聞く
  • ミラーリング効果を意識する

目の前の人に集中する

ヒアリングしている目の前の人に集中してください。

ボーっとしながら、ただ相手の話に相づちを打っているだけでは正しいヒアリングとは言えません。

相手の感情や表情、仕ぐさ、声のトーンにも注目しましょう。

このようなヒアリングを「傾聴」とも呼びます。

一言でも聞き漏らすまいと熱心に耳を傾けていると、たとえ10分ほどの短時間でも全身が疲労するでしょう。

もし見込み客との商談や打ち合わせを終えてから疲れを感じなければ、傾聴できていない証拠かもしれません。

注意点として、目の前の人に集中するためには環境を整えておくことも重要です。

特にリモートでの商談は雑音が入らない静かな場所でおこないましょう。

丁寧に共感する

丁寧な共感は、相手との信用関係を築くためにも重要です。

あなたが一生懸命に話しているにもかかわらず、営業担当者が真顔で無反応だったら、もっと話したいと思えるでしょうか。

「そんな成果が出るとは◯◯様のお力ですね」「そんな逆境があったのですね」と共感してもらえると、相手は話しやすくなります。

くり返しとなりますが、ヒアリングは情報を集める手段ではありません。

相手に寄りそって、信用関係を築くためのものです。

相手に感情移入しながらヒアリングするといいでしょう。

5W2Hで聞く

ヒアリングで質問するときのポイントは「5W2H」で聞くことです。

5W2Hとは英語のWhat(何を)、Who(誰が・誰に)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)、How much(いくら)の頭文字です。

ヒアリングで話を聞きだすときには5W2Hの切り口で質問すると、立体的に内容を把握できます。

5W2H質問例
What何が業務の妨げとなっていますか?
Whoチームメンバーは誰ですか?リーダーは誰になりますか?
Whenプロジェクトが始まったのはいつですか?
Where新しい事務所はどこに決まりましたか?
Whyなぜ方針を変えないのですか?
Howどうやって目標を達成したのですか?
How muchいくら予算を確保できますか?

ヒアリングに行き詰まったときには、5W2Hを思い出してください。

時間軸で聞く

相手が答えやすくなる質問のポイントは、時間軸で聞くことです。

言い換えるなら「現在→過去→未来」の順にヒアリングしましょう。

未来(商品・サービスを購買してもらう)のことは未確定で答えにくい一方で、現在や過去の“事実”は答えやすいでしょう。

まず「現在」の状況・課題について答えてもらいながら、その原因をもたらした「過去」にスポットを当てていき、最終的に課題を解決する「未来」について聞きましょう。

このような時系列に沿ってヒアリングすることで、自然な流れで商品・サービスの提案もしやすくなります。

ミラーリング効果を意識する

人間には自分と似た動きをするものを好きになる「ミラーリング効果」という心理的効果があることをご存じでしょうか。

例えば相手と向かい合いながら「同じタイミングで水を飲む」「同じタイミングで首をかしげる」ことをくり返していくと、自然と親近感を抱くようになります。

ミラーリング効果は動作に限らず、感情や声の大きさ・トーンでも効果を発揮するでしょう。

声の大きさを合わせたり、高音なら高音でトーンを合わせたりしていきます。

つまり、ミラーリング効果は「相手との一体感」を意識することが重要です。

注意点として、極端に相手を真似していると「バカにしているのか」と捉えられる場合があります。

あくまで自然な範囲内でミラーリング効果を発揮するといいでしょう。

ヒアリングを行う注意点

ここまで紹介したポイントをおさえてヒアリングすることが重要です。

一方でヒアリングには次の注意点が3つあります。

  • 自己都合で解釈しない
  • 聞くだけで満足しない
  • 守秘義務を守る

自己都合で解釈しない

ヒアリングを通じてさまざまなことを相手から聞きだせますが、その内容を自己都合で解釈しないことに注意してください。

例えば、見込み客が「離職率が高くて困っている」と話したからといって、「人材が足りないなら人材紹介サービスを紹介しよう」と自己解釈することは危険です。

見込み客はその原因を「残業時間の多さ」や「育成環境の不整備」と捉えているかもしれません。

根本的な原因を解決する手段を提案しなければ、見込み客には納得してもらえないでしょう。

また見込み客からは「この人は勝手な判断をする人だ」と思われてしまい、信用を失いかねません。

自分の先入観や思い込みを捨てて、フラットな立場でヒアリングしてみましょう。

聞くだけで満足しない

ヒアリングで膨大な量の情報を聞いたからといって、それに満足することは避けてください。

見込み客と仲良くなって盛り上がったとしても、ヒアリングの内容が雑談に毛が生えたようなものでは意味がありません。

商品・サービスの提案につながるような見込み客の現状や課題を聞きださなければ、ヒアリングの成功とは言えないでしょう。

見込み客との関係を深めることも大切ですが、ビジネスにおける課題解決という目的を忘れずヒアリングの質にこだわることが大切です。

守秘義務を守る

ヒアリングを通して聞き得たことは、他言無用です。

相手はあなたとの信用関係に基づき、「あなただから話した」可能性もあります。

商談を進めるため上司に報告する程度なら問題ありませんが、相手のプライベートな内容まで話す必要はありません。

また業務上の機密情報を知った場合には、特に扱いに注意してください。

たとえ家族・パートナーであっても、業務上の機密情報を漏らすことは原則として禁止されています。

社会的信用を落とすだけでなく、場合によっては損害賠償請求にもつながりかねないため守秘義務を守りましょう。

まとめ

ビジネス・営業におけるヒアリングとは、見込み客の話を聞きとることです。

ヒアリングによって相手の抱えている悩み・課題を把握して、解決方法として商品・サービスを提供できるでしょう。

ヒアリングのポイントは、「目の前の人に集中する」「丁寧に共感する」「5W2Hで聞く」「時間軸で聞く」「ミラーリング効果を意識する」ことです。

ちょっとした工夫ですぐに実践できるポイントもあるため、参考にしてください。

ヒアリング能力をアップさせて、商品・サービスの成約率を高めてはいかがでしょうか。

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