「営業代行サービスを利用して、自社の商材が売れるかどうか知りたい」「新商品は営業代行で売りにくい商材なのか?」といったお悩みを持つ担当者や経営者は少なくありません。
自社で開発した商材を、営業代行に依頼して売上がアップするのか不安になるのは当然です。
今回の記事では、営業代行が向いている商材、反対に向いていない商材をご紹介します。
依頼する際に押さえておきたいポイントも解説しますので、最後までご覧いただけると幸いです。
営業代行とは
営業にリソースを割けない法人の代わりに、商材の販売や提案を行うサービスをすることです。
法人としてサービスを展開している場合もあれば、フリーランスとして活動している人もいます。
請け負う業務は、アポ取りなど新規獲得営業だけでなく、マーケティング、資料作成、商談、クロージング、フォローアップまで幅広く対応している会社・フリーランスも存在しています。
コロナ禍でリモート営業をしたいけどノウハウがないという場合も、営業代行が請け負っているケースも多いようです。
営業代行に向いている商材
営業代行に業務を依頼する場合、最も注意しなければならないことは、向いている商材と向いていない商材があることです。この項では、営業代行が扱うのに向いている商材をご紹介します。
知名度が高い商材
元々知名度が高い商材の場合、営業代行に依頼すれば自社の取引先以外にも販路が広がる可能性が高くなります。
その理由は、営業代行が持っているルートを活用できるかもしれないからです。
営業代行が独自で保有している販売ルートを活かして、知名度の高い商材を販売してくれます。
また独自の企業データを持っている場合もあり、データを利用した新規開拓をすることで売上アップも狙えます。
知名度のある商品は売り込みもしやすく、新規開拓でも話を聞いてもらいやすいのが大きなメリットです。
ターゲット層が高い関心を持っていると考えられるので、営業代行に適した商材といえるでしょう。
高単価の商材
後半でも詳細について説明しますが、営業代行は、主に毎月固定額を支払う固定報酬型(月額報酬型)と成果に応じて報酬を支払う成果報酬型の2つに料金体系が分かれています。
前者の場合、商材が売れていなくても一定の報酬を支払わなければなりません。
そのため高単価の商品を担当させることで料金の元を取る形が望ましいといえます。
後者の場合、高単価商材だと成果報酬が高額になるケースがほとんどです。
営業代行の立場から見ると、なかなか売れなくても1件の成約で高額な報酬をもらえるのであれば、営業活動にも熱心に取り組めますし、活動に使えるコストが増えます。
無形商材
無形商材とは、SaaSやクラウドサービス・プラットフォームなどweb上で完結するサービスを筆頭に、情報、金融商品、人材派遣、サービスなどを指します。
一方、有形商品は車、機械、部品、コピー機など目に見える商品のことです。
有形商品は顧客にサンプルを提示できるので、実際に目で見て、手で触れてもらうことで商品の魅力を手軽に伝えられるのが特徴です。
しかし無形商材は、目に見えないものを扱うため顧客にサンプルの提示ができません。
営業は、資料を使って口頭で商材の特徴や魅力を伝える必要があります。
そのためには高いコミュニケーション能力とセールス力が必要不可欠です。
営業代行ならば、セールスに関する知識やテクニックを持っているため商材の魅力を顧客へ伝える方法を提示できるでしょう。
さらに無形商材は、長期的なお付き合いや、丁寧なフォローが大切です。
例えば、無形商材の販売で最も難しい初期のアポ取りを営業代行に依頼し、契約後は自社の社員がフォローするという体制を構築すれば、お互いにとって有益な契約になるかもしれません。
このように高額商材は、セールスに関する知識やテクニックを持つ営業代行向けといえます。
アタックリストが豊富な商品
アタックリストとは、営業をかける企業情報が掲載された一覧表です。
企業によって「ターゲットリスト」や「訪問先リスト」と呼び名は違いますが、営業活動で必須となる以下のものがまとめられたものになります。
- 企業名
- 連絡先
- ウェブサイト
- 代表者名
- 担当者名
- 部署名 など
上記が明記されている企業のリストを多く保有している法人は、リストをもとに営業をかければ、安定した実績をあげられるため、固定報酬制の営業代行と相性が抜群です。
しかも営業代行が商材のニーズに合わせて商材ごとのリストを作成し、お互いに共有できれば自社の財産が生まれることになります。
また、自社の業界を得意としている営業代行会社なら、販路やアタックリストをすでに確保していると考えられますので、スムーズに業務を行うことができるでしょう。
ただし、注意点が1つあります。
自社の製品を、新規開拓をして販路を広げていくことを目的とする場合は、ABMツールを利用していなければアナログで調べるか業者からリストを購入しなければなりません。
そのため、新規開拓を考えている場合は、営業代行の強みを生かしきれない場合もあることを念頭に入れておく必要があるでしょう。
営業代行に向いていない商材
一方で、営業代行と相性が悪い商材も存在します。
もし営業代行に依頼を考えている場合、次に挙げる商材に当てはまるかどうかチェックしてから判断したほうがいいでしょう。
専門性の高い商材
営業代行は、セールスに関する専門的な知識やノウハウを持っているところが強みです。
しかし、個々の商品について専門的な知識は持ち合わせていません。
もし依頼した場合、企業側がレクチャーをする必要が出てきます。
一般的な説明で理解できるならば問題ありませんが、高度な専門知識を必要とする商材の場合、営業代行では対応できません。
そのため専門性が高い商材を販売するのは苦手といえるでしょう。
低単価の商材
低単価の商材を営業代行に依頼するのは危険です。
いくら売上が伸びたとしても利益が出ない可能性が出てくるからです。
サブスクのように、定期的に購入が必要な商材ならば、長期契約だと利益が出てくるでしょう。
一方で低価格で売り切りの商品だと、1件あたりに得られる成果は低くなります。
営業代行に支払うコストを考えると割に合わないかもしれません。
新しい販路・顧客の獲得や、営業ノウハウの習得を目的ならば別ですが、単純に売上アップや利益追求が目的ならば、低単価の商材を営業代行に依頼するのは止めておきましょう。
属人性が高い商材
人との繋がりを重視した商材の場合、営業代行に販売をさせるのは難しいでしょう。
確かに既存の顧客に対してアフターフォローを行い、リピート注文や継続利用につなげるのも営業代行が請け負う業務の一つです。
しかし、「あなただから契約したいと思った」と顧客企業に言われてしまうと、営業代行から自社の営業に切り替わったタイミングで、契約打ち切りとなるリスクが発生します。
属人性が高くなってしまうかどうかは、商材のターゲット層の特徴によるので、営業代行に依頼してもいい業務や取引先なのか、市場やターゲットのニーズや属性を把握しておきましょう。
ターゲットが少ない商材
商品が良くてもターゲットが少なければ売上は上がりません。
アタックリストが少ない場合も同様です。
絶対数が少なければ、たとえプロでもアタックリストがすぐに尽きてしまうでしょう。
従って、マーケティングの段階でどのような商材を作れば多くの人に喜んでもらえるか、検討し直す必要があります。
もしアタックリストが極端に少ない商材の場合、営業代行を利用しても思ったような効果が得られない恐れがあるので依頼するのは避けた方がいいでしょう。
営業代行のメリット
企業として営業代行を利用するにあたり、どのようなメリットがあるのか知っておく必要があります。
しかし、中には、まだ「営業代行を使うメリットが具体的に浮かんでいない」という担当者がいるはずです。
そこで、どのようなメリットがあるのかご紹介します。
教育にかけるコストが削減できる
メリットとして挙げられるのが、コストの削減です。
人材を確保して育てるのには時間と労力が必要になります。
複数名を採用するとなれば、発生するコストはかなり大きくなるでしょう。
もし営業代行と契約すればそうしたコストがかからなくなりますし、即戦力なのですぐに営業活動を行えます。
人材不足で営業リソースに人を割けない企業は、営業リソースと相性がいいといえます。
営業力が高い人材を確保できる
一番のメリットは、優秀な営業マンが稼働してくれることです。
営業代行会社やフリーランスで営業代行をしている人は、もともと営業として力を持っています。
過去の実績や営業ノウハウを持ち合わせているため、早期に結果を出してくれるでしょう。
また、自社に拠点がないエリアの開拓や、販売ノウハウのない新市場の開拓にも営業代行のメリットが生きてきます。
営業代行のデメリット
営業代行に業務を依頼するメリットがある一方で、デメリットも存在します。
デメリットについて押さえておくことで、導入後のリスクをあらかじめ想定することができますので、しっかりチェックしておきましょう。
依存度が高くなる
営業代行に依頼をすると結果を出してくれる分、依存度が高くなりがちです。
自社の人材不足も解消しないため、ますます営業代行へ依存してしまいます。
しかも、成功のリソースが自社に蓄積されにくいので人材が育ちにくい環境となります。
将来的に営業の内製化を見据えている場合、その旨を営業代行会社に伝えておき、営業ノウハウが継承される環境を作っておくよう心がけましょう。
契約の段階でノウハウを共有できるようにしておくのがいいかもしれません。
営業業務がブラックボックス化してしまう
営業代行の指示権限は代行業者が所有していることが多いため、日々の営業活動が見えにくくなる場合があります。また情報流出のリスクも考えられます。
そうした状況にならないように定例会の開催や営業レポートの提出などを取り決め、満足のいく営業活動がなされているかを自社でチェックする環境を作っておきましょう。
また、専門性が高かったり、個人情報を多く取り扱う企業は、「どこからどこまで営業代行に任せるか」事前に決めておくと安心です。
営業代行を選ぶときのポイント
もし自社で営業代行に依頼をすると決めた際、注目して欲しいポイントがあります。
この項では、見逃してはいけない点をご紹介しますので選ぶ際に役立ててみてください。
解決したい問題点を明確にしておく
営業代行を選ぶ前に、解決したい問題点を明確にする必要があります。
営業代行は、会社やフリーランスによって営業プロセスを一気通貫型で引き受けたり、テレアポなど一部の業務に特化して対応したり、請け負う業務が様々です。
そのため目的を明確にしておかないと、どこに依頼をしていいのかわかりません。
営業代行を請け負う側も、クライアントの目的が不明確だと手探りで業務を進めることになり、成果が出しにくくなります。
料金体系を確認しておく
営業代行の主な料金体系は、固定報酬型と成果報酬型の2つです。
それぞれの相場や、メリットやデメリットについて解説をします。
〇固定報酬型
固定の報酬額を毎月の料金として支払う契約です。実績によって金額が変わることがないので、予算が決めやすくなります。
また、会社やフリーランスによって営業活動の成果や課題などのフィードバックも料金の中に含まれていたり、固定のプロジェクトマネージャーを配置したりしてくれるケースもあります。
行動量の担保をして拡販していきたい場合や、営業活動をマーケティングに活かしたいときはおすすめです。
デメリットは、成果が上がらなくても固定報酬を支払う必要がある点です。
営業リソースが無駄になってしまうので成果が出なかった原因を分析してフィードバックしてくれるところを選ぶようにしましょう。
過去の実績を調べるのも有効な方法の1つです。
〇成果報酬型
受注や顧客獲得などの成果が発生した時だけ報酬を支払う契約です。
固定報酬型に比べると高めの金額で設定されることがあるので、大きな成果が得られそうな事業の場合は予算を確保しておく必要があります。
メリットは成果が出ない場合は費用がかからない点です。
余計な費用がかからないのでコストが軽減されます。
デメリットは成果を上げにくい商材だと営業代行が積極的に動いてくれない点です。
そのため行動量を担保したいという場合には向いていません。
〇費用の相場
費用は会社やフリーランスによって変わります。
一般的な相場だと固定報酬型の料金は月額500,000円~700,000円が目安です。
成果報酬型の場合、代表的な成果指標であるアポイント単価だと15,000~50,000円ほどが目安です。
ただし、商材や請け負う業務によって料金が変わってくるので問い合わせをしてみるのがいいでしょう。
可能ならば見積書を出してもらい、社内で比較検討してみてください。
打ち合わせをこまめに行ってくれる会社を選ぶ
営業代行を選ぶ際には、定例会など定期的に打ち合わせをしてくれるところを選んでください。
デメリットの項でも紹介したように営業のブラックボックス化を防ぐためです。
また、自社の目的と営業代行会社実際に行うことにズレが生じてくる可能性が出てきます。
防止するためには小まめに打ち合わせをして、目的・方向性・手段にズレが生じていないかチェックをするのが確実です。
問い合わせをする際には、「打ち合わせを小まめにやってくれるところを探している」と伝えておきましょう。
営業代行側も事前に知っておくことで「このクライアントは打ち合わせなどのフォローを重視しているのだな。フォロー体制を厚いことをアピールしよう」と考えて、提案してくる可能性が出てきます。
まとめ
ここまで営業代行に向いている商材、向いていない商材をご紹介しました。向いている商材は
- 知名度が高い商材
- 高単価の商材
- 無形商材
- アタックリストが豊富な商品
以上の4つです。
もし自社で営業代行を依頼しようか検討中ならば、商材が上記の条件に当てはまるのかチェックしてみてください。
もし向いていない商材なら他に手立てがあるのか検討するのも1つの手です。
営業代行は、販売に関する知識やノウハウ、高いスキルを持ち合わせていますが、どのような商材でも対応できるわけではありません。
向き不向きを知った上で依頼するのか検討してください。
もし依頼をするならば、相性の良い営業代行と巡り会えることをお祈りしています。