営業職とは商品・サービスを売る仕事です。企業の売上を立てるために欠かせない存在であり、求められるスキルは多岐に渡ります。
ただ、営業職として力をつければキャリアアップして高収入を得たり、独立・起業を目指したりすることも可能です。
本記事では、営業職の仕事内容やメリット、向いている人、年収相場について解説します。
目次
営業職とは
営業職とは、企業が開発した商品・サービスを見込み客に対して販売する職業です。
新しい顧客との契約を目指す「新規開拓」や既存顧客の継続発注(リピート)を目指す「ルート営業」といった役割があります。
新規開拓では、見込み客のリスト化やアプローチ、アポイントの獲得、商談、契約といった流れで業務を進めることが一般的です。
いずれの営業職にも共通していることは、見込み客の悩み・課題を解決する商品・サービスを提案し、未来を描くことです。
「こんな良い未来が待っている」と見込み客にイメージさせることで購買に結びつくため、「未来を描く仕事」と言っても過言ではありません。
営業職の仕事内容・流れ
営業職の具体的な仕事内容・流れについて以下の順に解説します。
- ターゲットを定め、市場調査する
- 商談する
- 納品・アフターフォローする
1.ターゲットを定め、市場調査する
誰彼構わず商品・サービスを売ろうとしても、セールスには成功しません。
砂漠で旅人になら水が高値で売れるように、「どんな市場で誰をターゲットにするか」で売れる・売れないは決まります。
「商品・サービスを喉から手が出るほど買いたいターゲットは誰なのか?」を考えましょう。
できるだけ具体的な人物像を描くと、提案の方法までイメージできます。
ターゲットを定めたら市場調査を進めてください。
同じターゲットを狙っている競合の商品・サービスはどのような強み・弱みを持っているかを考えましょう。
競合分析には3C分析やSWOT分析などのフレームワークを用いると効果的です。
2.商談する
電話・メール・ビデオ通話などでターゲット(見込み客)にアプローチをかけます。
アポイントを獲得できたら商談の準備をしましょう。
ほとんどの見込み客にはアポイントを断られる可能性が高いため、トークやメールの内容をくり返し改善することが大切です。
またエステ店や家電量販店などで店舗を構えている場合は、見込み客側から来店してくれるため、こちらからアプローチする必要はありません。
商談では相手から状況をヒアリングし、悩み・課題を解決するために自社の商品・サービスを紹介しましょう。
悩み・課題の深掘りが十分でないと、浅い提案となってしまいます。
また商品・サービスの購入金額を提示し、場合によっては価格交渉に応じつつ、契約を結ぶ流れです。
3.納品・アフターフォローをする
契約書で決めた期日までに商品・サービスを納品します。
ただし、契約内容と齟齬があれば、クレームに発展するかもしれません。
契約内容通りに商品・サービスを提供してください。
また納品して営業の役割が終わるわけではありません。
商品・サービスを効果的に利用できているか、不具合・トラブルが起こっていないかなどのアフターフォローも必要です。
顧客が満足すれば、リピートや紹介につながる可能性もあるため、丁寧にアフターフォローを行いましょう。
営業職の種類・一覧
営業職には、以下の種類があります。
- 法人営業
- 個人営業
- 新規営業
- ルート営業
法人営業
法人営業とは、企業・組織をターゲットとする営業です。
個人営業と比べて規模・金額が多くなり、契約を結ぶまでに時間を要します。
担当者一人の意思決定では決まらず、さまざまな役職者の承認を得なければ契約できないためです。
そのため、どのような役職者でも納得できる提案をしなければなりません。
企業の課題や組織についてリサーチを徹底することがポイントとなります。
個人営業
個人営業とは、個人をターゲットとする営業です。
法人営業と比べて規模・金額は少なくなり、契約までスピーディに進みます。
本人が契約を決めさえすれば、即日に購入してもらうことも可能です。
個人営業では、営業担当者自身の人柄が大きく影響します。
商品・サービスの性能よりも、「人柄が良いからこの人から買おう」と人間性を重視するケースも少なくありません。
新規営業
新規営業は、新しい顧客を開拓する営業です。
ゼロから関係を築いていくため、アポイントの獲得にも苦労するでしょう。
まずは数をこなして進めていくことが重要です。
新規営業では7回、8回と企業に訪問してようやく契約につながるケースもあります。
たとえ断られたとしてもアプローチを続ける粘り強さを求められるでしょう。
ルート営業
ルート営業は、すでに契約を結んだ顧客への営業です。
毎回商品・サービスを提案するのではなく、アフターフォローとしての役割が重視されます。
契約の継続・リピートを目的とする営業活動を行います。
注意点として、既存顧客だからと言って油断は禁物です。
アフターフォローにミスがあると、契約を打ち切られる可能性もあるため、顧客との信頼関係を築いていく必要があります。
営業職のメリット
営業職を選ぶメリットについて、解説します。
- コミュニケーションやリサーチの能力アップ
- 精神力を鍛えられる
- 独立・起業のチャンスがある
コミュニケーションやリサーチの能力アップ
人に商品・サービスを売る仕事のため、コミュニケーション能力は欠かせません。
コミュニケーション能力では「話す」、「聞く」という言葉のやり取りだけでなく、表情やアピアランスも重要です。
真顔から変わらない人や、スーツがヨレヨレになっている人から買いたくはないでしょう。
コミュニケーション能力は場数を踏むことで磨けます。
また業界や競合他社に対するリサーチも必須となるため、リサーチ能力も向上します。
情報を集めるだけでなく、その情報の真偽を確かめる「情報リテラシー」に関する能力も高められるでしょう。
精神力を鍛えられる
営業職では、商談を断られることが日常茶飯事です。
時には、一生懸命なアプローチがクレームに発展することすらあります。
相手から断られたり、怒られたりすることは精神的な負担も大きいかもしれません。
ただ、そこを乗り越えれば精神力が鍛えられます。
簡単に物事をあきらめない人間へと成長できるでしょう。
独立・起業のチャンスがある
個人事業主や経営者になるために最重要なスキルは「営業力」です。
自社の商品・サービスを販売し売上を立てられなければ、事業を成長させ、従業員に給与を支払うことはできません。
営業職として営業力を身につければ、独立・起業のチャンスを得られます。
将来的なキャリアアップのために、まずは会社員の営業職として活躍できるといいでしょう。
営業職に向いている人の特徴
営業職にはどのような人として、以下が挙げられます。
- 傾聴できる人
- 粘り強い人
- 信頼できる人
以降では、それぞれについて説明していきます。
傾聴できる人
売れる営業職は、話上手な人ではなく聞き上手な人も多いです。
一方的に商品・サービスの魅力を伝えたとしても、相手に刺さるとは限りません。
相手の話を傾聴し、しっかりと悩み・課題を聞き出すことが大切です。
その悩み・課題に沿った提案ができれば、契約につながるでしょう。
傾聴のポイントは、目の前の相手に集中することです。
相手が発した言葉だけでなく、表情・仕草にも注目するくらい集中します。
粘り強い人
営業職は「断られる仕事」と言っても過言ではありません。
「一度や二度断られることは当たり前。
それでも最終的には必ず契約してくれる」と思って、粘り強くアプローチできる人が向いています。
ただし、むやみやたらにアプローチするのではなく、相手が納得できるよう論理的に提案することが大切です。
信頼できる人
世の中には似通った商品・サービスが存在します。
「AとBの商品はどちらも性能はほぼ同じ」という場面で、見込み客が意思決定する決め手となる要素は、営業職の人柄です。
突き詰めれば、ビジネスは信頼で決まります。
見込み客は信頼できる営業職、企業から商品・サービスを購入したいもの。
信頼される立ち居振る舞いをできていれば、最終的に人柄で選んでもらえるでしょう。
営業職に女性はきつい?楽しすぎ?
これまで「営業職=男性」というイメージが強く根づいていました。「営業職に女性はきつい」という意見もあります。しかし、女性にこそ営業職の適性はあるのです。以下の観点で女性に適していると言えます。
- 共感性が高い
- 気配りが得意
- 女性独自の視点がある
女性は感情表現が豊かで、共感性が高いです。
初対面の相手でもすぐに距離を縮められるでしょう。
また共感性の高さゆえに気配りも得意です。
相手の小さな変化に気づき、きめ細やかな対応ができる点はアフターフォローといった場面にも役立ちます。
さらに、女性ならではの視点で物事を見ることが可能です。
例えば化粧品やダイエット用品など、女性をターゲットとする商品・サービスは女性営業職のほうがその特徴をよく理解しています。
上記の理由から、営業職は女性にも適性があり、楽しく働ける仕事と言えるでしょう。
営業職の年収相場|転職・求人・中途採用
気になる営業職の年収相場はいくらになるのでしょうか。
転職会社「マイナビAGENT」が発表している『職種別平均年収ランキング』によると、種類別の年収相場は以下となります。
職種 | 20代 | 30代 |
法人営業 | 413万円 | 530万円 |
個人営業 | 397万円 | 539万円 |
ルート営業(ルートセールス) | 379万円 | 482万円 |
営業管理職・マネージャー | 433万円 | 623万円 |
法人営業と個人営業に大きな差はありませんが、ルート営業はやや下がっています。
ルート営業は新規営業に比べると求められるハードルが低くなる(飛び込み営業などをしなくていい)ため、それが年収に反映されていると考えられるでしょう。
また営業担当者をまとめる「営業管理職・マネジャー」の役職者になると、30代では他の職種よりも年収相場が高くなります。
キャリアアップして責任ある立場になれば、年収アップを狙えるでしょう。
まとめ
営業職にはコミュニケーション能力や精神力、リサーチ能力などの実力が求められます。
営業職として成長すれば、どの業界でも商品・サービスを売れる市場価値の高い人材になれるでしょう。
また営業管理職やマネージャーとしてキャリアアップすれば、高収入を得ることも可能です。
今や男性だけでなく女性も活躍できる職種であるため、就職・転職を検討してはいかがでしょうか。