営業ノウハウ

インサイドセールスとは?特徴やメリット、役割を解説

インサイドセールスは、デジタル化が進む現代の営業活動において、多くの注目を集めています。テクノロジーの進展により、従来のセールス手法は変貌を遂げ、インサイドセールスは欠かせない戦略となりつつあります。

近年、インサイドセールスは新しい営業手法として注目が高まっていましたが、新型コロナウイルスの影響でリモートワークの推進など顧客との接触の機会が激減したことにより、新しく導入に取り組んだ企業も少なくないでしょう。

一方で、インサイドセールスの導入に取り組んだもののうまくいかなかった企業や、これからインサイドセールスの導入に取り組む企業も多くあります。

本記事では、インサイドセールスの基本的な理解に役立つ資料として、特徴やメリット、役割、テレアポや従来の営業との違いについて解説します。

インサイドセールスは、従来のフィールドセールス(直接訪問販売)とは異なり、電話やインターネットなどのデジタルコミュニケーションツールを使用して、オフィス内から商品やサービスを販売する方法です。このアプローチは特にBtoBビジネスにおいて有効で、費用対効果が高く、スケールしやすいというメリットがあります。

インサイドセールスとは

インサイドセールスの役割

インサイドセールスとは、従来の直接的な対面営業ではなく、主に電話、メール、ウェブ会議などのデジタルコミュニケーション手段を利用して行われる営業活動およびポジションのことです。

主に、リードジェネレーション(見込み顧客の発掘)からリードナーチャリング(見込み顧客の育成)、商談創出までを行うことが一般的です。

リードジェネレーション(見込み顧客の発掘)や顧客情報の整理など、一部マーケティングに近い業務を担うこともあります。さらには、インサイド「セールス」という言葉の通り、商談を担当することもあるなど、企業によってその役割は様々です。

インサイドセールスの歴史的背景

インサイドセールスは、1970年代のコールセンターの拡大とともに始まった「テレマーケティング」がその起源と言われています。当時、商品を電話で直接販売する手法が広まり、BtoCの領域を中心に用いられました。

90年代に入るとインターネットの台頭により、企業間取引においても、電子メールの普及やCRMツールの導入など、顧客データの管理と分析が可能になりました。それによりテレマーケティングはインサイドセールスへと派生し、効率的な営業活動としてBtoBの領域でも広がりを見せることとなります。

さらに近年では、SaaS(Software as a Service)ビジネスの拡大、ソーシャルメディアの出現により、インサイドセールスはさらに進化。これらは、営業担当者が地理的な制約なしに顧客にアプローチできる環境を提供しました。また、AIの進歩は、顧客の行動を予測し、パーソナライズされたセールス経験を提供することを可能にしました。

現代においてインサイドセールスは、デジタル化が進む中で、企業が如何にして効率的かつ効果的に顧客との関係を構築し、維持していくかという課題に対する解答の一つとして位置づけられています。

フィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスは主にその役割に違いがあります。

従来の営業では、顧客リストの作成から商談獲得、クロージングまでの一連の流れを行っていました。

このプロセスを細分化し、ターゲット選定からリードジェネレーション(見込み顧客の発掘)をマーケティング、商談獲得までをインサイドセールス、商談・クロージングまでフィールドセールスが行うという「THE MODEL」というセールスモデルが広がりを見せています。

前述の通り、役割は企業やその時の状況によって異なりますが、インサイドセールスは商談獲得、フィールドセールスは受注金額、件数がKPIとされることが多くなっています。

テレアポとの違い

インサイドセールスとテレアポは、同じものとして考えられることがしばしばありますが、目指す目標と戦略において明確な違いがあります。

テレアポは、「アポイント」と取る、ということを目標としたアプローチです。リード生成に焦点を当てており、量的なアプローチを特徴としています。その目的は、セールスの初回接点を創出することそのもにあります。

一方で、インサイドセールスはテレアポを含む、より包括的なセールスプロセスです。電話だけでなくメール、ソーシャルメディア、ウェブ会議など複数のチャネルを通じて、リード獲得からリードナーチャリング(顧客育成)を行い、より良質な商談を供給します。テレアポが初回接点の創出を目的としていることに対して、インサイドセールスは自らが供給した商談が成約へと進むことを目的としています。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスは大きく「SDR(sales development representative)」と「BDR(business development representative)」にわけることができます。

SDRの役割

SDRの役割はリードナーチャリングとインバウンドで獲得した新規リードとの接触です。主にSMB(Small to Medium Business)=中小企業がターゲットとなります。

ホームページやランディングページからの資料請求があった購買意欲の高い企業担当者と初回のコンタクトを担うため、高いヒアリング能力が必要となります。

また、顧客の購買意欲の高いタイミングを逃さないようにするため、顧客情報のキャッチアップ能力とスピード感のある対応が重要な役目です。

BDRの役割

BDRの役割は特定のターゲット企業との接点を構築し、契約金額の大きな成約を創出することです。SDRでは主に顧客のアクションが起点となる一方で、BDRは自社からのアプローチが起点となります。

BDRにおけるインサイドセールスの役割は、エンタープライズ企業や、レガシー企業など開拓の難易度の高い企業を攻略し、セールスの商談機会を創出することです。これらの企業は成約となった際の受注金額が大きい、長期の取引になるなどベネフィットが大きいです。そのために、IR情報を調べてキーパーソンへと手紙を送ったり、キーパーソンのSNSから情報を取得し、寄り添ったアプローチを行うなど、かなり細やかなアプローチが必要となります。

このようにアプローチの事前情報の収集に工数がかかるBDRと、スピード感の求められるSDRとでは違った指標を持つことが必要となります。

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスのメリットは様々ですが、商談獲得を効率を大きく向上させることが最大のメリットと言えるでしょう。

インサイドセールスの多くは、電話やメールといった即時性の高いコミュニケーション手段を、CRMやMAツールなどデジタルツールと組み合わせてその成果を最大化させます。さらにその特性上、地理的な制限なしに幅広いエリアの潜在顧客にアプローチをすることができ、これまで手が届かなかった市場や、顧客層にたどり着くことができます。

事業成長を加速させたい企業や、さらに多くの商談機会を求める企業にとってインサイドセールスは非常に有効な施策であるということができます。

インサイドセールスのデメリット

多くのメリットをもたらすインサイドセールスですが、導入~定着の難しさが大きなデメリットとなります。

インサイドセールスの導入にあたって、自社の課題の整理とインサイドセールスの導入目的、役割を明確にする必要があります。この部分を整理せずにインサイドセールスを導入した結果、ただのアポイント獲得の部隊となってしまい、成果を発揮することができないことが多々あります。

また、先述の通りインサイドセールスの多くがCRMやMAツールを活用して営業活動を行います。しかし、これらのツールには多くの運用コスト、定着コストがかかるため、価値を発揮できないケースは非常に多くあります。

これらのインサイドセールスを正しく導入すること、それに伴うツールを正しく活用することがインサイドセールスの成果の最大化に繋がります。

インサイドセールスの導入に関して

インサイドセールスの導入目的とKPIの設定

インサイドセールスを導入するにあたってまず必要なことはその目的と目標の設定です。この部分が定まっていない状態で、「なんとなく成果が上がりそうだから」と運用をスタートしてしまうと、ただのアポイントを獲得する部隊となってしまいます。

まずは自社の営業課題の洗い出しと、その原因を整理した上でインサイドセールスの立ち上げを検討します。そして、インサイドセールスの導入が自社の営業課題の解決へと寄与すると明らかになった次のステップとしてKPIを設定しましょう。

KPIが定まらずにインサイドセールスを運用することも、ただのアポイントを獲得する部隊となってしまう要因の一つです。

導入目的と、KPIが定まったら次のステップです。

適切な人員の選定と業務体制の構築

次は適切な人員の選定と業務体制の構築をします。

最初にインサイドセールスとして配置をするのはセールスが最も適切でしょう。なぜなら、多くの商談の経験があり、いい商談、悪い商談の判断がすでにできているからです。インサイドセールスの役割は多岐にわたりますが、良質な商談を創出すること、一次商談の対応などがメインとなるので、その解像度が高いセールスはインサイドセールスに適任と言えるでしょう。

また、インサイドセールスの成果を最大化させるためにはCRMやSFAの営業支援ツール、リスト作成のツールなどが必要となります。

様々な機能を求めるとかなり投資金額が膨れ上がってしまうので、最初はミニマムからスタートして、人員の増加に伴って投資金額を増やしていくことをおすすめします。

まとめ

インサイドセールスは、セールス活動を効率化し、強化する重要な戦略として、今後もさらに多くの企業に採用されることが要素されています。

セールスの効率化として有効な施策である一方、目的がまとまらずに初めてみたもののうまく成果が上がってこないということは多くある話です。

まずは導入に際して、目的と目標を固め、適切な人員が成果を最大化できる環境づくりから始めることができれば、インサイドーセールスは多くの企業の成長を支える仕組みとなることができます。